あらいぐま日和

日常のあれやこれや

「東京の人は冷たい」は誤りだった?

こんにちはあらいぐまです!

 

今回は、今読んでいる「影響力の武器」という本の内容の一部をご紹介したいと思います。

 

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この「影響力の武器」は、人が意思決定をする上でさまざまな影響を受けているということを心理学的なアプローチから説明している本です。その中で、集合的無知という現象が興味深かったので、ご紹介したいと思います。

 

そもそも集合的無知とは、

 

集合的無知:答えが曖昧な状況において、周囲の人達が何をしているのか知ろうとする傾向を皆が持つことで生じる。出来事に対して無関心になること。

 

だそうです。正直、なんのことかピンと来ないと思いますので、例を交えて説明します。

 

例えば、多くの通行人がいる道路で、うずくまっている人がいたとします。倒れていたり、血が出ているわけではないので、一目見ただけでは緊急事態かどうか曖昧です。そんな時、人はこの状況を他の人の判断に求めてしまいます。しかし、その他の人も別のひとに判断を求めています。人は、他の人から「落ち着いて取り乱さない人である」と思われたい性質を持っているため、平然と落ち着いた様子を装っています。そのため、この出来事は緊急事態ではないと判断されてしまい、人々は傍観するだけになってしまいます。

 

これが集合的無知です。

 

この集合的無知の面白いところは、集団になったせいで、無関心になってしまうということです。たとえば、人が急にうずくまった時に、自分しかいなかった場合は、人はその人に声をかけるそうです。他に人がいないため、集合的無知は働かず、声をかけるということです。

 

東京の人は冷たい。とよく言いますが、これは集合的無知のせいではないでしょうか。東京など都市では、集合的無知が起きやすい環境であると言えます。

 

  1. 東京は、様々な人がいて騒々しく、変化が著しいため、自分が遭遇した出来事が曖昧になりやすい。
  2. 多くの人がいるため、集合的無知が働きやすい。
  3. 見知らぬ人ばかりであり、落ち着いた態度をとってしまう。知り合いであれば、状況について相談しやすいため、緊急事態かどうか一人だけで判断しなくて良い。

 

このように、東京など都市部では、集合的無知が働きやすいため、ただの傍観者になりやすいのではないでしょうか。なので、東京の人だからではなく、東京という環境のせいと言えるでしょう。

 

では、自分が緊急事態になった時に、どうすれば助けてもらえるでしょうか?

答えは簡単で、集合的無知が働かないようにすれば良いのです。まずは、曖昧な状況を作らないこと。ただうずくまるのではなく、「助けてください」と声を出して緊急事態ということをアピールする。もっと効果的なのは、指名することです。例えば、「そこの赤い服の人、救急車を呼んでもらえますか?」といった具合です。

 

この集合的無知という現象を知っていれば、もし自分がそのような状況に遭遇しても、人を助けられる一押しになると思います。逆に自分が緊急事態になった時、恥ずかしがらずにしっかりと緊急事態ということをアピールすることが大切です。